高橋みなみ×朝井リョウ「ヨブンのこと」神回をまとめてみる

元AKB48の高橋みなみさんと小説家の朝井リョウさんがパーソナリティを務める「ヨブンのこと」に大変ハマっています。その中でも、個人的に「これは何回でも聞きなおしたい神回だわ」と個人的に思っている大好きな回をまとめてみました。

2017年10月29日「アラスカと小説のキャラクター」

選挙の影響によって一部地域でしか放送されなかったというある種、幻とも言える回。お2人も終始いい具合に力の抜けたゆっるゆるの対応で、いつも以上にあっちやこっちへいく会話が最高に心地いいです。

この回での聞きどころは、ふいに差し込まれるアラスカいじり。ロケでアラスカへ行っていた高橋さんが、お土産として「アラスカ」と書かれたキーホルダーを購入しスタッフに配っていたことに対し、朝井さんが強い衝撃を受けるさまがリアルタイム配信されています。「アラスカでアラスカって書いてあるお土産買う!?」「いやアラスカって書いてなかったらどこのお土産かわかんないじゃん!」という答えのないやりとりに、居酒屋で隣のブースから聞こえてくる会話ににやにやしてしまうときのような感覚に陥りました。

後半では高橋さんの「最近なんかあったー?」というゆっるゆるな話の振り方から朝井さんが「作家が小説のキャラクター名を決めるとき、身近でなんとなしに触れている名前を自然に使ってしまうことがままあるが、あるときすごく自然に決まったキャラクター名が、あとあとAV女優の名前だったことに気がついた」というエピソードを告白。限られた時間の中で駆け込み寺のように滑り込んできたエピソードの重みがとても心地いい回。

 

2017年12月24日「サプライズクリスマスプレゼント」

「放送日がクリスマスイブになる」という理由で、高橋さんが朝井さんへのクリスマスプレゼントを用意していた回。プレゼントの中身は、おしゃれなベレー帽でした。

しかし、かねてからオシャレと相性が悪いと語っている朝井さんは、ベレー帽を見た瞬間「ウワアア」とゾンビ映画のモブのような悲鳴をあげ「こんな帽子似合うわけないでしょ!?」と絶叫。のっけからだいぶ不安な雰囲気です。

高橋さん「被って被って。ちょっ……前髪は入れなくていい!」
朝井さん「え? コールドストーンの店員みたいに被ろうかと思ったんだけど。踊ろうかと思ったんだけど」

なんだかんだと言いながら、しぶしぶ帽子を被った朝井さんに対し、高橋さんは「被り方が違う!」と相性の悪さを目の当たりにして衝撃を受けたご様子。「なにがだよお!帽子の被り方なんて一通りしかないでしょ!」と叫ぶ朝井さん。結果として

  • 大きいしいたけ
  • 七福神にいる人
  • マーチングバンドの先頭に立っている人
  • アメリカの大学の卒業式(朝井さん「帽子を上に投げたろか」)
  • 神様になれなかった手塚治虫(朝井さん「切ない。トキワ荘で色んな漫画家を見送る大家ということですね」)
  • アフリカの水を頭にのせて歩いているお母さん

など、信じられない形容詞が大量に誕生。最終的に朝井さんも鏡を見て「うわあ、ヘン!」とシンプルな戸惑いを見せていました。

 

2018年9月9日「全然知らない人のLINEアイコン」

LINEのアイコンを変えた、という世の中に五億個転がっているエピソードから朝井節が炸裂した神回。「クソみたいな自己啓発本」「インチキバカ」といった悪意にまみれたトリッキーワードを惜しみなく繰り出しつつ、現在朝井さんのLINEアイコンに設定されている女性について詳細が語られていきます。なお、当然のことながら我々は朝井さんのプライベートLINEのアイコンなど知る由もないので、基本的には高橋みなみさんと朝井リョウさんの楽しそうな会話をいまいち輪に入れないままとりあえず聞いているあんまり飲み会に参加したことないやつ、みたいなテンションで聞くこととなります。

話を雑にまとめると

  • 友人が中古のタンスを購入した際、中に前の持ち主の私物が入っていた
  • その中の一つであるラブレターが大変な名文であった
  • 書き手に興味を持ち、フルネームが分かる状態だったためネット社会をフル活用し彼女を捜索する
  • ついにあの名文を書いた女性を見つける
  • 住んでいる場所などが、ラブレターの中に書かれている場所と酷似しており、興奮のまま友人にその旨を報告する
  • すると友人は「は?」と冷たいリアクション
  • 実は友人は、前の持ち主について正しい情報を知っており、朝井さんが見つけた女性はたまたま近いところに住んでいるただの同姓同名の女性であったことが判明
  • 「思い込みだけで走り出し、物語を作ってしまう」という作家ならではの悪癖に凹んだ朝井さん
  • 結果として、まったくの別人であった全然知らない女性の画像をLINEアイコンとして設定

端的にまとめたかったのですが取捨選択がとても難しいエピソードだったので、どう頑張っても「LINEアイコンとして設定」が唐突ですね。面白い話は文章にするのが難しいですね。

 

2019年2月24日「ナイスマライアメール!」

前半は、高橋みなみさんがカレー部の活動として出かけた荻窪「吉田カレー」さんのお話。それももちろん面白いんですけども後半の「ナイスマライアメール」のコーナーが素晴らしいのでぜひ聞いてください。クリス智子さんのイメージで「J-WAVE感」を演出しながら、ひたすらリスナーさんの「わたしとマライア」という思い出を語っていくコーナーです。「CSチャンネルではじめてマライアのMVを見てエロいと感じた」とかそのくらいの、言ってしまえばとるにたらない思い出なのですが、ヨブンのことで味付けすることで人生を構成する非常に重要な思い出として仕上がっていきます。

特に好きなのは、大学生リスナーからのナイスマライアメール。要約してご紹介します。

英語の授業中、マライアキャリーのMVを見たところ、改めて見るマライアは大変バストが大きく、理系男子で構成されたクラスは中学校のように色めき立ちました。曲の途中、クラスを受け持っていた紅一点・50代くらいのおばちゃん先生に何気なく目をやると、彼女がマライアを超える巨乳であることに気づきました。半年以上お世話になっていたのに、まさに盲点。近すぎて気づかない親の愛のようでした。マライアは、近すぎて気づかない大切なものを気づかせてくれたのです。

メールの途中、おもむろに「盲点!」と叫ぶ朝井さん。メールを読み終えたあとには「ナイスマライアおばちゃんメール!」と改めて叫び、私の知っているクリス智子さんとは若干の齟齬を感じつつも、ゲラゲラ笑ってしまいました。

個人的には神コーナーだと思っているので、できるなら4週に渡って「ナイスマライアメールコーナースペシャル」をやってもらいたいです。

 

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