以前、ぐっとくるストレンジポップやインディポップは、ロサンゼルスやブルックリンで作られているという記事を書きました。しかしながら、ある土地の音楽に強く惹かれたとしても他の土地で生まれる楽曲がそれに劣っているかと言えば、そんなことはまるでありません。
そこで今回は、スウェーデンやデンマークなど北欧の国々に注目して、ストレンジポップ・インディポップ、サイケ、シューゲイザーバンドをピックアップします。
The Cardigans
もはや説明不要かもしれませんが、スウェーデンのギターポップバンドであり、北欧ポップの金字塔的存在のカーディガンズ。ボーカルはなにもかもむちゃくちゃかわいい女性ボーカルで、若干憂鬱な気配も漂わせているのがなんというか、ずるい。とにかくボーカルのNina Perssonの破壊力が高いのでそのあたりがピックアップされがちですが、バンドとしてのルーツはブラック・サバスほかヘヴィ・メタルにあるらしく、その辺りも踏まえながら聴いていくと深みが増すのではないでしょうか。
KAKKMADDAFAKKA
ノルウェーのバンド、カックマダファッカ。絶妙に言いたくなりますよね、このバンド名。だってカックマダファッカだよ?カックマダファッカ。キングス・オブ・コンビニエンスのアーランド・オイエによってプロデュースされ、大きな注目を集めました。曲によって、超哀愁500%!泣かせに来ていやがる!というものもあれば、あれ?なんか急にどこからともなくギャングやってきた?みたいな曲もあるので、広く聴いていけばいくほどきっと心惹かれるものがあるはず。ルーツはヒップホップにあるということもあり、一筋縄ではいかない自由な楽曲作りを楽しんでいることが伝わってくるところがなんとも魅力的です。
Peter, Bjorn & John
スウェーデンのスリーピースバンド。EL&Pばりのシンプルなバンド名は「みんな自分たちの名前をつけたらいいのに」というごくごくシンプルな理由に由来しており、バンド名に悩むすべてのバンドマンを優しく突き放す意思の強さがすばらしい。今回ご紹介するバンドの中では、特にバンド色が強いバンドだと思います。どう表現したらいいのか分からないけど「ポップなんて普段聴かないぜ!」という人にも寄り添ってくれそう。「Young Folks」には、The ConcretesのVictoriaが参加しており、男女ボーカルの絶妙な掛け合いを聴くこともできます。あと毎回、アートワークがなんだか絶妙に毒々しいのがときめきポイント高め。MVも、毎度なんやこれ?という感じですがなんだか見入ってしまいます。
Mats Wawa
こちらは、ノルウェーのシンガーソングライターであり、2015年からはバンド形式でも活躍しているアーティスト。シンガーソングライターがその楽曲のままバンドをはじめると、不思議なものでパワーダウンしてしまうことがしばしばありますが、Mats Wangはソロ時代を知っているユーザーからもバンドが評価されている印象があります。音楽を音楽で例えるのはあまりよくないと思うのですが、全体的におしゃ楽曲のようでありながらバッキングゴリゴリやんけ、みたいな曲も多くて、日本のシティポップ文化に通ずるシンパシーを感じてしまいます。
Cats on Fire
さてこちらは、フィンランドのポップバンド。すごく軽やかな雰囲気の楽曲があったかと思えば、目を離したすきにこめかみを右ストレートでぶん殴られるようなパンチのある曲もあり、気が抜けません。いわゆるスミス直系タイプのバンドなので、好きな人はバッチバチにツボに入るはずです。例えば同じアルバムが好きな人でも、どの曲のどこが好きかで使用言語が180度変わりそうです。私は「My Sense Of Pride」のギターで打ち抜かれました。
SLAUGHTER BEACH
アメリカに実在するビーチの名が名づけられたこちらは、デンマークを拠点に活躍しているインディーポップバンド。あとはサイケとかシューゲイザーとか色んな形容をされていますが、どれも当てはまるようでどれも違うような、掴みどころのないイメージは楽曲に共通した特有の浮遊感から連想されるのでしょうか。ヨーロッパのさまざまなメディアから注目を集め、瞬く間に世界中で話題になったバンドは、日本では日本編集盤アルバムを限定リリースしたことも。爽やかな楽曲は休日のおでかけBGMに、宙に浮いたような楽曲はおやすみBGMにしたい感じです。軒並みシンセが効果的でときめきます。
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