70年代&80年代シティポップの名盤を90年生まれの人間がまとめる

 

2018年3月号&4月号の「レコード・コレクターズ」でシティポップ特集が組まれたり、「ギターマガジン」の2017年10月号でジャパニーズ・フュージョン/AOR特集が組まれたりと、最近また注目が集まっているみたいです。

その時代を生きていたら……と思いをめぐらせがちな人間にとって、色んな情報を新たに知れるのはすごくうれしいことです。

ということで、70年代&80年代の日本のシティポップについて、個人的な名盤をまとめてみました。

 

山下達郎「SPACY」


1977年発売、山下達郎氏のセカンドアルバム。1曲目の「LOVE SPACE」から人を殺そうとしているのかというくらいギラギラなところが好きです。

たまに「シティポップ」という題材について人と話していると、どこかキザで軟派なイメージがなんとなく広がっているのかな、と思うことがあります。

が、山下達郎氏のファースト~セカンドの流れを聞くと爽やかな音とは裏腹にがっちがちに硬派な思いが見え隠れして、ギラッギラでゴリッゴリでマッチョな体感に改めてときめきます。

 

ラ・ムー「THANKS GIVING」

菊池桃子さんがボーカルを務めるファンクバンド、ラ・ムーが1988に発表したアルバム。

当時は、アイドル×ファンク!やべー!という話題性重視の粗雑な扱われ方をしていたという話も耳にしますが、曲を聴く限りはめちゃくちゃかっこいいの。平成生まれの人間にとって、こうしたアルバムから感じられるバブルの空気がたまりません。

シングルにしても「愛は心の仕事です」「少年は天使を殺す」「Tokyo野蛮人」というタイトルからして好きにならずにいられません。なんつーセンスだ。

 

大瀧詠一「大瀧詠一」

1972年に発売された、大瀧詠一氏はじめてのソロ作品。通称「ファースト」。ファーストというよりもはやベストと言いたいくらいぎゅっとつまった一枚。

1981年に発表された「A LONG VACATION」をはじめて聴いたとき、あまりにもやばすぎる……と思ったのはもちろんなんですが、両極端な要素が一枚に落とし込まれていることに、いい意味での違和感を感じていました。

ファーストは「A LONG VACATION」に続く系譜として聴くとよりじんわり響き、時代を行ったり来たりするように何度でも聞きたくなります。

 

大貫妙子「Grey Skies」

SUGARBABEからはじまった歴史が、ソロプロジェクトとしてひとつの形になった、こちらもファーストでありベストである一枚。

SUGARBABEの楽曲の中でもトップレベルの名曲でありながら、スタジオRECはされなかった「愛は幻」がソロバージョンとして収録されているのもポイント。「SONGS」に収録されている「愛は幻」、「SONGS」内で一番好きかもしれません。アウトロだけでも何億回と聴いていたい。ソロ版はSUGARBABE版とはアレンジが違うけど、これはこれで疾走感が心地いいです。

さらに、他の楽曲はジョニ・ミッチェル、ベン・シドラン、スティーヴィー・ワンダーなど大貫さんの憧れのアーティストを意識して作られているという、愛のつまった曲にぐっときます。

 

大貫妙子「SUNSHOWER」

「Grey Skies」からわずか1年で究極の名盤を発表した大貫妙子さん。

「YOUは何しに日本へ?」で、アナログを探すために日本にやってきたYOUの存在によって2018年に5thプレスがされたという逸話もある、国内外で愛される名盤です。

捨て曲がない、というのはまさにこういうことなんだろうなあと思います。でもやっぱり、定番だけど「都会」が一番好きです。

 

大貫妙子「アヴァンチュール」

どんだけ大貫妙子の話ばっかりすんねん……感が続きますが、どうしても外せないヨーロピアン三部作より、真ん中の名盤「アヴァンチュール」。

「チャンス」→「グランプリ」の流れで心震わされ、ファーストとはまた違った味わい深い一枚です。

 

かねのぶさちこ「み空」

ジョニ・ミッチェル系譜の人として忘れてはいけないかねのぶさん。1972年に発売された「み空」は、細野晴臣氏プロデュース。シングル版の「時にまかせて」は、大瀧詠一氏プロデュースで、ナイアガラファミリーの一員としても忘れられません。

楽曲の魅力もさることながら、日本語の美しさが本当にたまりません。「み空」の「太陽はやわらかい絹に腰を下ろし舞い踊る妖精をじっと見ていた」とか。多量に摂取したらオーバードーズするのではという不安をはらむほど美しい。

アルバム全体はどこか肌寒く薄暗い雰囲気をまとっているのに、ロマンチックな少女性がちらちら見え隠れするのが、なんだかかえって不穏に見える。好きです。

 

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