話題の映画『カメラを止めるな!』。ようやく観ることができたので、あらすじとネタバレと感想を残しておきます。
未聴の方はとりあえず先に映画を観ることをおすすめします!!
『カメラを止めるな!』の前評判について
映画好きの方の中ではとっくに話題になっていたらしい今作。私が知ったのも、8月初旬都内で公開されるやいなや秒速でチェックしたらしい映画好きの友人の評判から。
恥ずかしながら監督のこともあらすじもまったくしらない状態だったので「どんな映画なの?」と聞いたのですが。
「どんな映画かなんて一言で言えない。知らなくていいからとりあえず観て。どんな映画か知らないほうがむしろいい、あらすじを読むな、情報を集めるな、そしてカメラを止めるな。(雑なタイトル回収)」
と言われ、ほ~そんなに言うなら観るか~と映画館へ足を運んだのです。
『カメラを止めるな!』のあらすじ
廃墟で行われる、ゾンビ映画撮影。思うように進まず荒れる監督と落ち込む女優。撮影が難航しているあいだに、本物のゾンビが現れてスタッフ陣がどんどん飲み込まれてしまい……。
みたいな内容が、一般的に公開されているあらすじだと思います。
この内容に沿って、最初の30分ゾンビ映画的ななにかが流れますが、これは劇中劇。後半は、30分長回し一本勝負というこの映画がどのようにして生まれたのか、その裏側の部分が流れていきます。
ポスターなどに描かれているキャッチコピー「この映画は二度始まる」の所以はここにあります。
『カメラを止めるな!』初見の感想
最初、何の情報もないまま観たので、最初の30分が劇中劇であることも分からず「これ……は……??」という気持ちで見ていました。
前評判がめちゃくちゃよかったのに反して、演技も流れもやりとりもあまりにも荒削りすぎて、その割に終始シリアスっぽい雰囲気が流れているため、完全に迷子になる観客たち。周りの人もそんな感じだったのか「???」という空気が流れていましたが、少しずつ「これ笑っていいやつだな……?」ということが伝わってきて、映画館全体の空気がゆるゆるしてくるのが分かりました。
特に、皆さまが一気にふわっとしたのがシリアスシーンまっただなかの「ポンッ!(護身術)」。
あとめちゃくちゃ個人的な感想で恐縮ですが、最初の30分のカメラ酔いがちょっとしんどかった。
長回しなので致し方ないのですが、すぐカメラに酔ってしまう系人間は「このままラストまでいくなら死んでしまう……」と思ったんですが、後半は見やすい構成だったし、何より途中からカメラ酔いがどうでもよくなるくらい笑いっぱなしだったので無問題。
『カメラを止めるな!』の面白さについて
最初30分のうち、本当の本当に最初の部分は「これなんぞや??」という気持ちで見ていたのですが、建物から飛び出すあたりでようやく「これゾンビ映画やない、ギャグ映画や!」と気づき、「よくわからない」が「わかる」になる喜びがそのままコメディ的な面白さに乗っかったような感覚でした。
「ポンッ!(護身術)」「イイネイイネ!ビンビンだよ!」「アチョー!」「斧があったわ、ツイてるわね」
あたりのセリフは、劇中劇と気づいていないあいだにも本当に面白すぎて、思えば映画館であんなにケラケラ笑ったのははじめてかもしれません。
後半ではキレイすぎるほどキレイに、最初の30分にあったことの裏側を晒していくわけですが、本当にキレイに折りたたまれていくので「わからない」が「わかる」に、そして「わかる」が「納得ゆえの面白さ」に変化していきます。M-1決勝の和牛の漫才を見ているような気分になりました。
『カメラを止めるな!』の面白さは、そういう「ネタ」的な面白さなので、絶賛されている一方で映画評論家的な人が首をかしげているのも分かるような気はします。
その一方で、セットが壊れてラストシーンを変えざるを得ない、となったとき、監督が一生懸命「ここは大事なシーンなんですよ!ちゃんと台本読んでくださいよ!」と解説しているのに、最初の30分ではサプライズ下痢イベント発生のせいで「大事なシーンの解説と伏線」が張られていなかったりもして、あらためて作る側と受け取る側の違いとままならなさを実感。
何かを「作るサイド」の人は特に面白いんじゃないかなというこの作品。世間の評価を見るかぎり、世の中には作るサイドの人がたくさんいるんだろうな。
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