高校中退女のその後「大金をドブに捨てたと言われ」通信制高校での生活

仕事で企業の方や店舗の方を取材することがちょこちょこあるのですが、どうにも口下手で困っております。そこで最近は、身近な人や気になった人に個人的にインタビューをして文章にまとめるという、仕事なのか趣味なのか勉強なのかよく分からないことをはじめてみました。

そのまま眠らせていてももったいないので、ブログに載せてみます。今回は、中学不登校から全日制の高校へ通うようになったものの、中退という道を選んだ女性、Aさんのインタビューです。

不登校から、全日制の高校へ通うことの難しさ

今回インタビューしたAさんは、小学校、中学校と不登校経験者。もともと身体が弱く、学校を休みがちであったことからずるずると学校に行かない形になってしまったそうです。

中学三年生になり、受験期を迎えると当然「将来」や「進路」という問題が立ちふさがるようになりました。

そこでご両親からは「将来のことも見据えて『普通の』高校へ通ってほしい」という願いを伝えられ、定時制や通信制の高校ではなく全日制の私立高校を受験することに。

しかし、Aさんの住んでいる地域から高校へ通うためには往復で2時間の移動が必要になります。身体の弱いAさんは、またしても次第に学校から足が遠ざかってしまいます。

 

高校中退と、ご両親の反応

両親からの希望に一度は応えようとしたものの、やはり高校でも「毎日通う」ということが難しくなってしまったAさん。高校生活では、義務教育の中学時代とは違い、欠席日数によっては進級・卒業もあやぶまれてしまいます。

半年ほど通学したあと、Aさんはご両親へ通うのが厳しいということを打ち明けます。

「母親からは、入学金と半月分の学費について提示されました。200万ほどだったと思います。『これだけの金額をドブに捨てることになった』と言われ、申し訳なさと、自分が情けない気持ちでいっぱいになりました」

結果としてAさんは、私立高校を中退して通信制高校へ編入することになりました。

通信制高校への転入と、その後の生活

Aさんが転入した通信制高校では、登校は週に1日

授業は午後の2時間のみで、あとは自宅で与えられた課題をこなし、提出することで単位が取得できるというシステムでした。通学の負担が少なくなり、自由に学びたいことを学べる通信制高校について、Aさんは「すごく合っていました」と語ります。

「学校=抑圧というイメージが強かったのですが、自分で好きな教科を選び、自分で好きな時間に勉強できるというだけで、こんなに充実するのかと驚きました。それまで自分は勉強も運動もできない人間だと思っていましたが、勉強することについて、はじめて楽しいと思ったのがこの頃です」

Aさんはその後勉強に打ち込み、高校三年生の冬には大学受験を経験。無事合格し、順調に大学生活を楽しんでいます。

 

「大学も、高校と同じく単位制なので、同じように毎日を楽しんでいます。小中学校の学びがすっぽり抜けているので取り戻さなければいけないことも多く、あれもこれもやりたくて仕方ないのですが、本当に学びたいこと、したいことを絞り込んでいきたい」

大学、そして通信制高校は「自分で学びたい教科を決めることができる」「自分で通うペースを決めることができる」という点が、小学校・中学校とは大きく違います。

Aさんの場合は、自由度の高いそのシステムが「学びたい」という意欲のきっかけになりました。学校に通うのが難しく人生を閉ざされたように感じている人、受動的な学習で自分は勉強ができないと感じている人も、ひょっとしたら思わぬきっかけで認識が変わるかもしれません。

 

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