先日、インパルスの「本当の堤下が分からない」→「堤下なんてはじめからいなかったんだ」という衝撃のネタがTwitter上で話題になっていました。

それを見た友人が「芸人のネタってただ面白いものじゃないの……?あんなに闇深いの?」と戦々恐々としていて、つい「漫才とかコントって怖いやつ結構多いよ!」と熱くなってしまいました。というのもお笑い芸人の怖いネタ探しに一時期ハマっていたので、その中でも外せないネタをまとめていきます。今回は特に、怖いネタの鉄板的有名コント編。

本当は実際に見てもらってぞわっとしてもらいたいのですが、中にはDVD化されておらず実際のネタを見るのが難しい「幻のネタ」もあるため、積極的にネタバレしてオチも明かしていくのでご注意。

実際のネタを見ていない人は、目次の芸人の名前+「コント名」で検索することを強くオススメします。

ラーメンズ「採集」

怖いネタ御三家のひとつである、ラーメンズの「採集」。互いのあだ名からとって「ジャックとプリマ」とも呼ばれています。

夜中、元同級生に学校の体育館に呼び出された小林さん(プリマ)が、片桐さん(ジャック)とお酒を飲みながら昔の思い出を語っていくという内容のコントです。

今なにやってんの、からはじまりさまざまな思い出を語る中で、ふと小林さんが片桐さんに対し「お前、昔昆虫採集好きだったよな、今はやってないの?」と聞くと、「昔のことはいいだろ」と話を逸らされてしまいます。初見のときにはさくっとスルーしてしまいそうなやりとりですが、実はこれが超重要なワード。

 

出典:Youtubeラーメンズ公式チャンネル「ラーメンズ『ATOM』より「採集」」

 

その後も何気ない会話の中に複線が散りばめられ、会話の進行とともにオチへ向かっていく途中、片桐さんが唐突に席を外します。そして小林さんだけが残されたステージにて、片桐さんの情報がまとめられていきます。

  • 片桐さんは現在地元で理科の先生をしている(そのため飲み会の場所も体育館)
  • 東京へ行って成功した小林さんに比べうまくいっていないらしい
  • 片桐さんのあだ名は「切り裂きジャック」
  • 片桐さんは現在理科と卓球にしか興味がない
  • 片桐さんの手帳にモルモット、ウサギ、ハツカネズミなどの解剖用生物の名前が書かれている
  • 項目の最後には「人間」の文字が
  • ふと外に出ると、モルモットやウサギの剥製が見つかる
  • 手帳に書かれていた動物たちは殺され、剥製にされた?
  • 体育館には綿がむき出しのマットがある→剥製を作る工程で使った?
  • 体育館には卓球台がある→解剖台に使った?
  • 飲まされたお酒→消毒用のアルコール?
  • そのとき突然眠気が襲い、アルコールに睡眠薬が入っていた可能性が浮上
  • 眠気と戦いながら「どこかで見てるんだろ!」と片桐さんを責める小林さん

ラストは、片桐さんから「今から帰るね~!」的ないつもとなんら変わらない電話がかかってきます。

あまりにいつも通りの対応に友人を疑ってしまった罪悪感も芽生え「まさかそんなことあるわけないのに!」と笑う小林さんの後ろから、静かに忍び寄る片桐さんが小林さんの顔を布で覆って暗転。なんという後味。

 

千原兄弟「ダンボ君」

ライブ「プロペラを止めた、僕の声を聞くために。 」より、怖いネタ御三家のひとつ。

教育テレビのお兄さんのようなキャッチーな衣装に身を包んだ千原ジュニアさんが、ダンボール箱を被り椅子に拘束された男の周りで歌って踊ってはしゃいでいる、なんとも奇妙なシーンからスタートするコントです。段ボールの男性は終始痙攣するかのように、ガタガタと不自然に動いていますが、ジュニアさんはなんだか楽しそうな雰囲気。

その状況についてなんの解説もないまま、ジュニアさんは「ダンボ君こんにちはー!」と段ボール箱の男性に声をかけ、自分でサンプラーを操作して『こんにちはー!』と返すなど、全一人芝居でダンボ君と会話していきます。途中、番組に寄せられたお便り(??)を読み上げながらも、進められていく会話の内容はざっと次の通り。

 

ダンボ君こんにちは!
『こんにちは!』
元気がいいねえ!
『ありがとう!』
元気がよくて気持ちがいいので、もう一回挨拶する?
『したーい!』
(お便り内容:どうして人間は死ぬのですか?を受けて)
ダンボ君、どうして人間が死ぬのか知ってる?
『しらなーい!』
人間は大切なときに嘘をついたり大切な人を裏切ったとき死ぬんだよ。分かった?
『じわじわ!』
じわじわ分かったのかあ、でもこれで賢くなったね!
『ありがとう!』
ダンボ君は大切な人に嘘をついたり大切な人を裏切ったりしたことある?
『あるー!』
じゃあ死なないといけないね。おにいさんがピストルでころしてあげるね!
『やったー!』

 

ここで「すごい喜んでるね、どんな顔してるかおにいさんに見せてよ」とダンボールを外されるダンボ君。そこで拘束されている人物(ナベアツさん)の表情がはじめてあらわになりますが、口元に血にまみれた猿ぐつわをされた状態で目をかっぴらき「んんんん!!」とうなりながら激しく抵抗しています。ジュニアさんはその表情についてなにもコメントすることなく、また段ボールをかぶせると、あいかわらずサンプラーで自作自演の会話を続けていきます。

 

死ぬ前にお兄さんとどこか遊びに行こうよ。どこがいい?
『どこでも!』
じゃあさ、動物園いこっか。どうやって動物園までいきますか?
『じわじわ!』
じわじわ行ってたら動物園しまっちゃうよ。じゃあさ、ジェット機で一気にいこうよ!
『頭がいいなあ!』

 

このくだりを経て「ほーら動物園についたよ」とジュニアさんが言った瞬間、下手からスーツにサングラス姿の千原せいじさんが登場。そして苦しそうな表情で、ジュニアさんに「もうやめましょう」と声をかけます。ジュニアさんはダンボ君に「あの動物はね、おにいさんの舎弟って言うんだよ」と教え、その後のやりとりからジュニアさんが実はヤクザで、教育テレビのおにいさんでもなんでもなく、裏切り者を処刑していたことが分かります。そして最後の、もっとも重要なシーンへ。

 

ダンボ君は将来なにになりたいの?
『したーい!』
へえ、死体になりたいんだ。じゃあおにいさんがころしてあげるね!
『やったー!』
どうやってころしてほしいの?
『じわじわ!』
じゃあどこ撃ってほしい?
『どこでも!』
どこでもじゃ分かんないよ!
『頭がいいなあ!』
でも頭なんか撃っちゃったら一気に死んじゃうよ!一気に死ぬ勇気あるの?
『あるー!』

 

そしてジュニアさんは、段ボールをかぶったままのダンボ君へピストルを放ちます。くずおれたダンボ君の身体がサンプラーに当たってしまい、ゆっくり暗転していく舞台上にダンボ君の『やったー』『やったー』『やったー』……がこだまして終了。

ジュニアさんだけが陽気なキャラクターなのも気味が悪く、何より副音声で静まり返った客席を見て「もっとウケると思ったのに」とボヤいている事実が一番怖い。

 

バナナマン「ルスデン」

怖いネタ御三家のひとつ。

帰宅した日村さんのルスデンに、古くからの友人である設楽さんから多数のメッセージが残っており、それを古いものから一つずつ聴いていくというあらすじ。

はじめは他愛のない内容のルスデンが続きますが、一つずつ追っていくことで、設楽さんが徐々にトラブルに巻き込まれていく様子が見えていくというストーリー。留守電に大量のメッセージが入っていたのは、トラブルから逃げる最中助けを求めて何度も何度も日村さんに電話していたからでした。何度電話をかけてもいっさい出てもらえないことに、設楽さんが少しずつ苛立ちを覚えていく様子がとにかくリアルです。

帰宅後、スーツから着替えながらルスデンを聞いていた日村さんがブリーフ一枚の姿で一人舞台上を駆け回っているコミカルな雰囲気と、どんどん不穏になっていくルスデンのコントラストがすごく怖い。

 

ルスデンをほとんど聞きつくし、ようやくことの顛末が分かったころ、ヤクザとのトラブルの末に薬漬けにさせられてしまった設楽さんが「どうして助けてくれなかったんだ」と日村さんを逆恨みにして自宅凸しにきます。すると、あれほど電話に出てくれなかった日村さんが自宅に居ることに設楽さんはブチ切れ。ヤクザからぶん取ってきたらしいピストルを日村さんへ向け、パニック状態の日村さんともつれあったところで暗転。

次に照明がついたときには、舞台の中心でぐったりとうなだれ座り込んでいる設楽さん。その横で、ブリーフ一枚でピストルを持ち、呆然と立ち尽くす日村さんの二人が浮かび上がります。どちらも喋らず動かない状態ですが、よく見ると設楽さんは血を流しており、もつれあいの中でピストルを誤射してしまったことが伺えます。

ルスデンを聞いていただけで、最終的に殺人犯になってしまった日村さん。なによりつらいのはこのあと、最後の最後の展開で、放心した日村さんだけがいる空間に、最後のルスデンが流れます。最後の最後、つまり直前にメッセージを残してくれたのは設楽さんではありませんでした。女性の声で「ゆうき、お母さんです。たまには元気な顔見せなさいよ」というメッセージが流れて、暗転。

 

次長課長「チコちゃん」

単独ライブ「僕のイチゾン」で発表され、衝撃を呼んだネタ。

基本的には河本さん演じる幼女チコちゃんと、井上さん演じるととさま(お父さん)のほのぼの系コントです。

「ととさまぁ~!」とかわいい声でキャッキャしているチコちゃんですが、「とっもだっち100人でっきるかな~♪」とお歌をうたっている途中に「できひん。そんなもん絶対無理じゃけえな。信用できるわけない」と場末の大衆居酒屋にいるオッサンのような口調でまくし立てるなど、やや情緒不安定な様子。

チコちゃんの純粋さと突然スイッチが入ることで登場するオッサンキャラのギャップが最初は面白いのですが、次第にチコちゃんの情緒不安定の原因が「ととさまとははさまが離れてしまったこと」、すなわち両親の離婚にあることが明確になっていきます。

楽しく遊んでいたと思ったら、突如乗っていた自転車から飛び降りてぶん回したりひきずり回したりと奇行に走るチコちゃん。そのたびととさまはチコちゃんをなだめようとしますが、その様子からは疲労がうかがえます。最終的にチコちゃんは「ははさまどこ行ったんじゃ!」と、灰皿でととさまに殴りかかります。

最後、ぐったり倒れこんだととさまを無視して、ははさまへ電話をかけるチコちゃん。

いつものかわいい声で「ははさま!ははさまお元気ですか?チコは元気です!え、ととさま?ととさまは今……お昼寝してます!」とお話したあと、あの情緒不安定時特有の低い声に戻って「でももう起きないですよ」とつぶやき終了。

 

怖いネタは本当にたくさんあるので、またちょこちょこまとめていきたいなあ。

 

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