4月も後半に差し掛かり、新生活をスタートした人も徐々に慣れてくる頃でしょう。そんなタイミングで、とあるパワーワードを耳にしました。それが「入学式ぼっち」。このワードが全国の少年少女の心を蝕んでいるそうなので、いったいどういうことなのか、調べてみました。
「入学式ぼっち」とは
心機一転、高校や大学に入学したとき、はじめてのイベントとなるのが入学式。先生方のお話を聞いたり、オリエンテーションで説明を受けたりという受動的な時間ですが、休憩時間など「何もしない時間」もあります。
こうした時間に、話す相手がいない、すべきことがない、時間を持て余す……という状態に陥ることが、入学式ぼっちなのだそう。
ふと周りを見て、楽しそうに話している同級生たちが目に入り、疎外感を覚えてしまった経験から、消極的になってその後も友人づくりを避けてしまう……という悪循環にもつながります。
入学式ぼっちを避ける方法
入学式ぼっちを避けるため、同じ中学や高校の友人と連絡を取り合って入学式に参加する人が多いようです。
確かに、一人でも顔と名前が分かる人がいれば(たとえもともと親しい友人でなくとも)心強いものです。
しかし、運よく身の回りに同じ進学先の人がいるとは限りません。
「入学式ぼっち」という言葉を聞いて「なかなかパワーワードだな~!」と思ったのも、入学式と言えば周りの大半が見知らぬ人で、ぼっちが当たり前なのではと思っていたからです。
地元を離れて大学へ進学するときは特に、学校どころか土地全体に知り合いが一人もいない……ということもあるでしょう。
そこで、同じ立場の人を見つけて「入学式ここで合ってますよね?」とか「一人ですか、私もそうなんですけど~」とか、なんでもいいから声をかければ、新しい人間関係が生まれます。
自分が「やばい……ぼっちだどうしよう……」と不安に感じているときは、同じような疎外感を覚えている人がいるはず。
心細さを埋めあうことが、友達づくりのきっかけになります。
そもそも「ぼっち=怖いこと」なのだろうか
そもそもぼっちは、避けるべきそして恐れるべきことなのでしょうか。
きっと、ぼっちを避けたいと思う気持ちは
「周りの目が気になるから」
「一人の時間をどう使えばいいか分からないから」
というような居心地の悪さから生まれているのではないでしょうか。
しかし、もう一度自分自身と向き合ったとき、あなた自身は本当に「一人の時間」が苦手でしょうか。誰からも見られていない、誰からもぼっちであることを咎められないとしたら?
ものすごく苦手な人と二人きりで過ごす時間と、一人の時間を天秤にかけたら?一人の時間を捻出すれば「やってみたいんだよね」と言いながら手をつけていない趣味がはじめられるとしたら?
一人で過ごす時間を選ぶことで、金銭的に余裕ができて、欲しかったものを変えるとしたら?
なんとなく「ぼっち」という言葉を嫌がっているだけではありませんか?
ぼっちでいることの魅力
アスリートや作家、研究者、経営者など、世の中で「天才」と称されている人や輝かしい功績を残している人のほとんどは、ぼっちの時間を大切にしています。
その中の一人である、評論家、思想家の吉本隆明さんは著書『ひきこもれ ひとりの時間をもつということ』で、学生へ向けて一人でいる時間の大切さについて説いています。
特に印象的な部分を抜粋。
世の中の職業の大部分は、ひきこもって仕事をするものや、一度はひきこもって技術や知識を身につけないと一人前になれない種類のものです。
つまり、ひきこもることができない、ぼっちでいることが苦手、という感覚こそが、何者にもなれない半人前の自分を構築する根っこになってしまうのです。
ぼっちに悩む人に、一番伝えたいこと
そうは言っても、やはりぼっちでいるより、友人と過ごす時間の方が楽しいと感じるでしょう。もちろん友人関係は、ぜひ大切にしてください。
しかしその中で、ちょっと疲れたときにはぼっちの時間を作ってください。そして、友人ともスマホからも離れたぼっちの時間を、自分を成長させる時間として楽しんでください。
考え方の癖は恐ろしいもので、物心つく前のちょっとした出来事から生まれた考え方に、生涯を通じて悩まされることもめずらしくありません。
学生時代に感じたぼっちの疎外感が染み付いてしまうと、30代になっても40代になっても50代になっても、なんとなく自分の本気を出し切れていない、つまり半人前の状態から抜け出せなくなります。
一年でも早く、一日でも早くぼっちを楽しめる人になることで、一日でも一年でも早く、周りに羨ましがられる魅力的な人になる方法です。
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