とーやま校長(グランジ遠山)退任時「SCHOOL OF LOCK!」最終回(2020年3月31日放送分)が激エモだった件

TOKYO FM系列で長年放送されているラジオ番組「SCHOOL OF LOCK!」をご存知ですか。「ラジオの中の学校」というコンセプトのもと、校長&教頭のWパーソナリティがリスナーの生徒たちに寄り添った内容を展開していく番組です。そんなSOL、とーやま校長ことグランジ遠山氏の最終日があまりによかったので、書き起こしておきます。

2020年3月31日放送分のざっくり内容

2010年、前任のやましげ校長に代わり、晴れてSOLの校長に就任したとーやま氏。それから2020年に至るまでのざっと10年間、雨の日も風の日も帯番組であるSOLの生放送をこなしてきました。

リスナーの方はご存知だと思いますが、とーやま校長の本職はグランジというお笑いトリオ。お笑いライブは19時~スタート、21時~スタートというものが多く、グランジの拠点である渋谷の無限大ホールや新宿のルミネtheよしもとでも、毎日その時間のライブが行われています。つまり、SOLの生放送をするためにはそれらのライブ出演を断ったり、出順を調整したりする必要があるということ。それだけでも、とーやま校長がいかに真摯にラジオ生放送に向き合っていたかわかります。

そんな状態で10年間。迎えた2020年3月31日には、番組の提供であるブルボンに対してさえ思いいれが強くなりすぎて「ブルボンのお菓子を見ただけで泣いてしまう」という涙腺ガバガバにも程がある状況でスタート。

いつものコーナーは変わらず続けつつ、時間の許す限り生徒へ直電をして直接メッセージを届けることになりました。

 

とーやま校長退任の理由

番組の冒頭、あらためて校長退任の挨拶をしたとーやま校長は、退任の理由について「おこがましいかもしれないけど」と前置きをした上で「自分は、悩んでいる生徒の求めている答えが見えてしまった。生徒と向き合うとき、一緒にがむしゃらになって答えを探す人こそがSOLの校長にふさわしい」と語りました。

気になったのは「がむしゃらになって」という言葉。前任の校長および教頭たちの影響を本当に本当に色濃く受けているのだなと感じずにはいられません。そして思い出したのは、やしろ教頭退任時のことです。

 

とーやま校長と二人、就任最後の放送にあたったやしろ教頭は、泣きながらやしろ教頭退任の悲しさを語る生徒に対し「大人になったらおっぱい見せてね!」とド最低な発言をまじえつつどこまでもやしろさんらしく、のらりくらりと対応していました。挙句、とーやま校長に「そろそろ泣けよ」と無茶ぶりをしだす始末。やしろ教頭ととーやま校長というよりも、カリカ家城とグランジ遠山じゃん……というゆるゆるトークが炸裂していました。

それでも最後、本当の最後の最後にかかった音楽とともに泣き出すやしろ教頭。そして「(ラジオの思い出として)色んなこと思い出したけど、一番前に飛び出たのがとーやまだったことが本当に悔しい」と零すやしろ教頭に「なにが悔しいことあんだよ!?」とぶちぎれるとーやま校長。しかし、そのあとやしろ教頭が涙をこらえながら零した「本当にとーやまと二年間やれてよかったなと思った……」に、とーやま校長もこらえきれず泣き出す、という一幕がありました。

あのシーンを思い出す3月31日。案の定、涙をこらえきれなくなるシーンはやってきます。

 

涙をこらえていたとーやま校長だったが……

色んなリスナーと電話をつなぐ中でも印象的だったのが、中学時代「自分なんかいなくなればいいのに」「どうやったら死ねるのか」と考えていたという高校一年生の男の子とのやりとり。絶望的なときにラジオを聴いてやりすごしてきた、と語る男の子ととーやま校長は、こんな会話を繰り広げます。

「よく生きてきたねここまで。……しゃべるのはじめてだっけ?」

「はい」

「待たせたね」

「いや、大丈夫です」

このあと、15秒ほど鼻をすすりながら無言になってしまう時間が。端的に、放送事故。それ以外の何者でもない時間。耐えかねたのか男の子が「……大丈夫ですか?」と質問すると、ガッタガタに震えた声で、「大丈夫じゃないね、先生ね……」ととーやま校長。

「ちくしょうなんで24歳も下のやつに心配されねえといけねえんだ俺は!!最後の最後に!!悔しいよ俺は!!!!」と大きな声を出してやりすごすという東京NSC5期生がやりがちな対応。そういうところが好きだ。

 

ブルボンのCMがえげつなかった

さて、そんな中で流れたブルボンのCM。ブルボンの商品CM自体は毎日流れているのですが、この日はなんと「とーやま校長10年間お疲れ様でした」というサプライズ仕様CMになっていました。

CMでは「学校に行けないときも校長のおかげで乗り越えられました」というような、生徒たちのコメントが次々流れ、その中には次のようなコメントがありました。

「五明です。次もなんかがんばってください」

「大です。本当によくがんばった!!」

で、でた~!!!グランジ~~~!!!どういう立場でメッセージを送ればいいのか若干戸惑ってる感じもリアル~~~!!!!!

ちなみにお母様であるとーやまたえこ様からのメッセージも賜り、最後に「ブルボンはこれからもとーやま校長を、そしてスクールオブロックを応援していきます!」というメッセージで締めくくられました。

冒頭から「ブルボンの菓子を見るだけで泣き出す」という不安しかない情緒だったとーやま校長は、CM明け「マズイ……」と声をかみ締めます。その中でも「ブルボンさん、SOLのためにありがとうございます。これからもよろしくお願いします」というコメントを忘れないあたり、まじ校長の鑑。そんなとーやま校長の涙腺が崩壊したのは、やはりこの二人に対するコメントでした。

グランジのメンバーに対するとーやま校長のコメントを、書き出ししておきます。

「それから、俺の親友の……五明と大。本っ当に迷惑かけたと思うし、色々思うところもあったと思うんだよな本当に。俺が一人でこうやってここにいなきゃいけないから、三人で色々制限されることもあったし。でもなんか今はすごく背中を押してくれて、大も、『なんで(ラジオを)やめんだ?続けたらいいじゃん』とかって言ってくれたりとかさ。五明も五明で千葉の方の海風にのった電波(※bayfm)のとこで喋ってるし。また三人で会う機会が多くなると思うからよろしく頼むわ、これから。これからも。」

生徒たちに対する誠実なコメントとはまた別ベクトルに、誠実極まりないお言葉。泣かすなばかたれ……。

 

10年の締めくくりのコメントが最高だった

そんなこんなで、あっという間に二時間の番組も終盤です。最後にとーやま先生は、3月31日の締めくくりとして、そして10年間の締めくくりとして思い出の一曲を流します。それは、自らが15、16歳、つまりSOLの生徒たちと同じ世代のときに出会った名曲という、奥田民生『イージュー☆ライダー』。これを流しながら言った最後の言葉が、本当に印象的でした。

それは10年間の総括としての「強烈な青春だった」

強烈な青春。10年間のラジオパーソナリティを締めくくる一言が、強烈な青春。この言葉にすべてがつまっていると思います。本当に、10年間お疲れ様でした。

 

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