書店に足を運ぶたび、なにか新しい出会いはないものか、いまだかつて見たことのない「これは!」という衝撃の出会いを果たせないものかと期待に胸を膨らませています。そして今日もまた一つ、素晴らしい百合に出会ってしまいました……。

百合アンソロ「エクレア」とは

電撃から発表されている百合アンソロシリーズ「エクレア あなたに響く百合アンソロジー」

一冊ずつの巻数表記こそないものの、同シリーズ内で何冊か刊行されているためアンソロジーにありがちな「たくさんの作家さんの作品が読めるのはありがたいものの、一人あたりのページ数が少なくて読み足りない」を解消する、なかなか満足度の高いシリーズです。(ちなみに画像の「エクレアblanche」は、シリーズ第二作目)

『やがて君になる』の仲谷鳰さん『明るい記憶喪失』の奥たまむしさんなど、単行本を集めている作家さんも多数参加しているとのことで、購入しました。

【参加作家さん一例】
フライさん、伊藤ハチさん、缶乃さん、平尾アウリさんなど

 

エクレアblancheでグッときたタイトル

きちんとお付き合いをしている百合カップルがいれば、恋人未満の二アリー百合もいたりと、バラエティ豊かなアンソロです。ハッピーなお話もビターなお話もあり楽しく読み進めていくと、ある作品に出会い、それがあまりにも衝撃的すぎて一発でハマってしまいました。

それは、結川カズノさんの作品。恥ずかしながら勉強不足で存じ上げなかった作家さんなんですが、Twitterのプロフィールを拝見すると「少女小説挿絵、TCG、乙女向けドラマCD他」とのことで、幅広い活躍をされている方のようです。

 

絵がずば抜けてうまいのももちろん魅力なんですが、とにかく扱っているテーマの丁度よさがとんでもないです。絶妙にウィークなところを突きつつ、ちょっと耽美の匂いも香らせつつ。一部層にグサグサ刺さる内容でした。

 

結川カズノさんのエクレア掲載作品ざっくり説明

主人公は女子小学生。クラスの、美人だけど生意気でクラスを牛耳る強気な女の子と、その女の子にハブられている子と、クラスにやってきた転校生と、傍観者のクラスメイト。彼女たちが、見てしまったこと、感じてしまったことが、ほどよく冷静に、ほどよく未熟に描かれています。ネタバレをしたくないので、とにかく読んでほしいので結末については記載しませんが、読んだあと、質のいいホラーを見たあとのように「ウヮ……」って小さい声でつぶやきました。

女子小学生だし、百合だし、扱い方によってはいくらでも安易にウケるコンテンツになりそうな対象に、ものすごく冷静に向き合っているのが最高にいい……。

このくらいの年代に言語化できない気持ちを抱くことはままあることだと思っています。そしてこういう作品を読むと、悪意も嫉妬もすべての出所はLOVEだったのかもしれないな、と今更思う。年齢を重ねてから、化石みたいな記憶を平和に上書きできるのは本当に素敵な読書体験です。

 

結川カズノさんのエクレア掲載作品を読んで思い出したのが、江國香織さんの『すいかの匂い」。

小学生くらいの女子にまつわる短編集ですが、すべての内容がどれも絶妙に不穏で、純粋ゆえに生理的な嫌悪感と隣り合わせている、棺桶に入れてほしいくらい好きな作品です。

結川カズノさん、今後もチェックしたいなあ~!知性と思慮深さがうかがえて、かつ面白くて、これは手放しに期待できる作者さんはとても貴重だなあ。

 

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