子どものお金教育!家庭で教えなければいけない使い方の勉強

塾講師をやっていたときに、色んな生徒と接する中で大人ができることは「勉強を教えること」に限らないんだな~と日々痛感していました。色んなシーンでそんなことを思ったんですが、特に無視できない、早い段階でできるだけよく話、考えさせておきたいのがお金にまつわる価値観

テスト勉強と違って正解がないことだからこそ、色んな大人が色んな形で「お金とは何か、どのように扱うべきなのか」というヒントを与えることがいいのかもしれません。

将来の夢は「どう稼ぐか」で考えさせる

例えば現代文の授業や英語の授業で、将来の夢について考えてその内容を書き記す、というような課題が出ることは少なくありません。そんなとき、なぜかみんな「教師」とか「デザイナー」とか、なんなら「サラリーマン」とか、職業で応えているのが印象的でした。

「サラリーマンって具体的にどんな仕事?」みたいに聞いてみると「会社に勤める」という答えが返ってくる一方で、具体的な仕事内容をイメージしていたり、就職したい企業があったりするわけではないようでした。

熱心にスポーツ・部活をやっている子に「プロ選手の道はどうよ?」とか「アスリートになりたいと思ったことはない?」と聞いてみると、だいたい「無理です」と答えられます。一見謙虚に思えるのですが、おそらく「会社に勤めれば給料がもらえる」ということを理解していること、そして「スポーツでどのようにお金をもらえるのか分からない」ということが関係しているのではないかと思います。

お金の稼ぎ方について「職業」ではなく「こうやってお金を稼ぐ(○○を作って売る!○○みたいなサービスでお金をとる!)」というかたちで考えてもらうと、消極的に「サラリーマン」と答えていた生徒も、楽しそうに語りだすので印象的でした。

 

働く親の姿を見せる

「どうやってお金を稼ぐか」と聞いたとき、面白おかしく自由にガンガン答えてくれる生徒さんもいるんですが、全員がそうではありません。具体的にお金を稼ぐ方法が思いつかず、黙り込んでしまう子ももちろんいます。

そこで「今、自分の身の回りのものを買うお金はどうやって手に入ってる?」と聞いてみました。答えはすぐ返ってきます。「お父さん(お母さん)が仕事をして稼いだお金」「なんの仕事してるの?」「お父さんは会社員。お母さんはパート」「どんな仕事してるの?」

そうすると、答えられなくなってしまいます。正直なところ、気持ちは分かります。かくいう私も中学時代、父が具体的にどんな仕事をしているのかよく知りませんでした。

今でこそ、某企業で開発・設計をしていた、と説明できますが、当時の自分は何度聞いても具体的な仕事内容をイメージするができませんでした。

父としても「自分がどんな仕事によってどのくらい稼いでいるのか」という話を子どもにすることは、抵抗があったのではないかと思います。

親が子にお金の話をしない、ひいては努力する姿や泥臭い姿を見せない、それが美徳であるという考え方が根付いている家庭もあると思うんですが、子どもがある程度の年齢になったとき「親の働く姿を見せる」ということは、お金について考えさせる上で一番効果的なのかもしれません。

 

「借りること」の意識を考えさせる

お金についての視野として「稼ぐ」ことと同時に考えなければいけない「使う」こと。「無駄遣いをしてはいけない」とか「よく考えて使いなさい」ということは、真っ先に教えるべきことのひとつですが「貸す・借りる」ということについてはどうでしょうか。

とある家庭では、子どもが友達と遊びに行った日、ちょっと高価なものを買って購入してきたと言います。「お金足りたの?」と聞くと「○○ちゃんが貸すよって言ってくれた」と。親御さんは、友人間で簡単に行われている金銭の貸し借りにぞっとして、返品させるべきかと悩んだと言います。

もちろん、今後の人生でもお金を借りざるを得ない場面に直面することはあるでしょうし、そんなときこのように対応すれば正しいという正解はありません。

それでも「欲しい・やりたいという気持ちを我慢すること」と「お金を借りていますぐ欲しい・やりたいという気持ちを叶えること」を天秤にかける習慣は、早いうちからあって然るべきなのかなと感じています。

とは言え、お金の問題に正解はありません。「お金はないよりあるほうがいい!」「人にお金をかけてはいけない!」というのは、大人がさまざまな倫理や常識の中で身に着けた考え方のひとつ、あくまで「ひとつ」であって、子どもも大人とまったく同じように考えなければならないわけではありません。

大事なのは、色んな意見を参考にしながら自分にとって価値のあるお金との向き合い方を身に着けること。そのためには失敗もたくさん必要になりますから、ときにはぐっとこらえて子どものお金の失敗を見守る時間も必要かもしれません。

 

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